空想じじい

人生は七転び八転び。

味方が敵

祖父は戦争に2回行ってる、と聞いてる、決して自分から話そうとはしなかった、僕の方から聞けば話してくれる、赤紙と言うのが来ると戦争に行かなければいけない、じいはな位は偉くなかった、しかし体はえらかった、めちゃくちゃ疲れた、毎日殴られてた、なんせ2等兵だから、一番下の位や、戦争で一番怖いのは、味方なんじゃ、味方に気を付けてないといけない、なんでかわかるか?わからん、敵に殺される人より、味方に殺される人の方が多かったかもしれない、だからどうして?緊張しすぎて敵と味方の区別がつかなくなってしまう奴、鉄砲を撃つのが下手で味方を撃ってしまう奴、どさくさに紛れて気にいらない奴をわざと撃つ奴、がいる、じいは戦争が好きやった、何時殺されるかわからないあの緊張感がたまらん、あれ以上面白い物はこの世の中には無い、子供の僕には理解できなかった、今はわかる気がする、どうせ避けて通れない運命、楽しんでしまえばいい、どんな境遇でも楽しんでしまえばいい、頑固なまでに実践し胃潰瘍まで楽しんで、明治生まれの頑固じじいは死んでいった。通夜が静かに始まった、酒が廻ってくると、稲がどうだ、魚がどうだ、サザエがどうだ、あわびがどうだ、船がどうだ、何処かで財布を落としてしまった、皆探してくれ茶色い財布や、誰かおれの靴履いてったか?ここに置いてあった黒いカバン知らないか?俺の上着が何処か行ってしまった誰か間違えて着てったか?大騒ぎだ、誰一人故人を偲んでいない、そのうち、じいは金歯を入れてなかったか?あれば売れるのにな、と誰かが言う、さらに酒が進むと、歌を歌いだす、めでためでたーのわかまーつ・・・・・、おい誰かカラオケ持ってこいや、ただの飲み会になっていく、こうして楽しい通夜の夜が過ぎていった。


追伸 僕はまだ小さかったので記憶が正確ではない所もあると思う。