空想じじい

人生は七転び八転び。

強くなれ亀

朝起きて、鏡を見た誰だこいつは、俺だ、ずいぶん年を取ったなあ、額が広くなったし、髪の毛はうすいし、後頭部は凹んでるし雨が降ったら河童みたいに水がたまるぞ、どうだ参ったか?一人言を言う、自分の顔は生で見る事はできない背中も頭も、鏡をつかえば大体は分かる、でも生で見た事にはならない、生で見ようと思ったら目をとり出さなければいけない、それでも見えるのは目のない自分の顔だ、一生見る事なく死んでいく、自分の行動とか、心も、もしかしたら、見えてそうで見えてない部分があるかもしれない、人に言われて初めて気ずく事はよくある。8年前の事、高校からの友達の亀が、母親が認知症になった仕事を辞めて田舎に帰って面倒を見る、と言う電話が入る亀は一人息子、母親と24時間付き合う事になる、きびしすぎる、田舎から何度も愚痴の電話が入る、変わってもらえる人がいない、亀死ぬぞ、施設か何処か、週に何日か変わって貰える人を探すかしないと、亀はやさし過ぎてできない、母親が他の人に見て貰いたくないと言ってる、そんな事聞いてたらお前が先にくたばってもっと大変な事に成るだろが、このどぶ亀、わかってるけど出来ない、母親のために自分を犠牲にしてるんだぞ、本当は母親はお前を犠牲にしたくないんだぞ、それもわかってるのか?又愚痴が続く血圧がどうの、血糖値がどうの、心臓がどうの、一時間くらい続く、母親の看病疲れで息子が先に死んで、母親が喜ぶとでも思ってるのかこのどぶ亀、そこまでやったら駄目だって、お前が病気して一番悲しむのは誰だよ、薄情になれと言ってるんじゃない強くなれ、亀は自分の事を考える余裕すら無くなってる、頭も真っ白になってる、8年め亀は沢山の薬が必要になった、亀は本当に死ぬかもしれない、だけど母親が入院した、良かったと思った、これで亀も楽になる、それから3ヶ月後、母親が無くなった、と言う電話、「良かったな亀」その言葉しか出てこなかった。