空想じじい

人生は七転び八転び。

中学生の頃

今日葬式があるよ、え!、もう帰りの心配が始まる、僕の村には中学がない、隣村まで4キロを自転車で通ってる、途中に墓場が2つある、車はほとんど通らない、しかもいやな事に墓場は道路沿いにある、当時は土葬だ、「埋葬した夜に埋葬された人が出てきて、墓の周りをうろうろ歩きまわってるのを見た人がいる、と言う噂が広がっている」時期だった、勉強どころではない、まあどっちにしても勉強はしてないけど、帰りの仲間を探す、忠君、今日一緒に帰ろう!待ってるから、他もあたる、4~5人仲間が出来た、一安心する、部活も終わるともう暗い、自転車で帰りだす、途中に駄菓子屋がある、ベビーラーメン、を買う、今でもあると思う、もう心臓がドキドキし始めた、ベビーラーメンを食べながら集落の最後の家をゆるくカーブすると、墓場が見えてくる、墓の周りは田んぼと空き地、灯りは何も無い道路もまだ舗装されてない、石ころがごろごろしてる、直線800メートル、全員に緊張が走る、ベビーラーメンの袋を捨てる、ライトを消す「ライトが点いてると自転車が重いから」あ~あそこに何か白いものが~、誰かが言う、一斉にペダルをふみこむ、ワ~ァ、誰かが転んだらしい、が誰も振り向かない、人の事など気にしてる余裕など誰にもない、必死で逃げる、最後尾から市君が一騎にまくってくる、皆、市に必死で付いていこうとする、だが全員を一騎に置いてきぼりにする脚力を持っているので、誰もついて行けない、やっと墓場が見えない所まで来る、脂汗、冷や汗、普通の汗で汗だく、ハアハア言いながら、転んだやつを待つ、転んだ奴が泥だらけで、ふて腐ってやって来る、まるで運動会だ、次の墓場は登り坂の頂上にある、皆作戦を練っているので会話は、うわの空だ、自転車に乗ったままで登れる斜度じゃない、突然、市が一騎に自転車に乗ったまま登って行く、やられた、残り全員いっせいに自転車を押して走る走る、息が上がってしまう、頂上にくる墓場が左側にある、怖くてしょうがない、左の方は絶対見ないようにする、ここでもたついたら運のつきだ、今度は急なくだり坂、一斉に自転車に乗る、やっぱり運動会だ、誰か焦ってペダルを踏み外して転ぶ、オーオーアッ暗いので誰だかわからない、必死に自転車を起こそうとしてる、そいつにぶつかって、もう一人転ぶ、そいつも必死に自転車を起こしてる、道がふさがってしまって又一人転ぶ、チェーンがはずれてるが気にしてる場合じゃない、そのまま乗る、やっと集落の灯りがみえる所まで来る、ほっとする。今思えばあの頃が一番楽しかったのかな~。