空想じじい

人生は七転び八転び。

アメリカ7 財布を拾う

ここのアパートは、屋上にプールがある、それがこのアパートの一つの売りになっている、だが水が冷たくて泳げない、管理人さんに言う、ヒーターが壊れてる、もうすぐ直るからと言う、何週間待っても直らない。寝る前にプールで泳いで寝れると思ってたのに残念。しょうがない。ある日の夜いつものようにバスタブにお湯を入れ始めた、お湯を出しっぱなしでテレビをみてて忘れてしまった、気がついたらあふれてた、大あわてでお湯を止める、バスタブの外には排水溝がないので、家中のバスタオル、タオル、服を使って拭くが、下の階にもれていた、管理人さんに怒られて、下の階の人に家内と2人で謝りに行った、下の階には男の人が一人ですんでる、快くゆるしてもらった、あ~よかった、翌日の夜、ふたたびお湯を出しっぱなしでテレビを見てて昨日と同じ事をしてしまった、2日続けての失敗、これは追い出されるか?と思ったが快く許してもらった、もうバスタブにお湯を入れないことにした、何日かして、突然管理人さんが来て、下の人から子供の足音がうるさい、静かにしてほしいと苦情が出てる、と言われた、一応家族全員に注意をするように話した、また何日かして管理人さんが来た、子供の足音でテレビの上の置物、テーブルの置物が全部ひっくり返ったと言う苦情が下の階からあった、注意するように、と言われる、確かに建て付けが悪い、上の人の足音も良く聞こえる、上の人が今何処に居るのかもわかる、ヤリがあれば一発で上の人を突き刺せる、それにしてもテーブルの置物までひっくり返ると言うのは大げさすぎる。管理人さんも分かっているようだった。それから何日か経った、ある日の夕方、駐車場で黒い財布を拾った、お~神様が僕達をみかねて、恵んでくれたんだと思って喜んだ!誰かに拾った所を見られてないか、きょろきょろ回りを見渡した、誰にも見られてない、柱の影に隠れて、わくわくしながら開けて見ると、カードがずらりと並んではいってる現金はなかった、ア~ァ残念!神様を信じない事にした。ガッカリして、捨てようと思ったがゴミ箱もなかったので、何とか踏みとどまった、一応カードを調べて見ると車の免許証が入ってる、住所を見ると家のアパートの2階に住んでる人だ、ア~ァ、しかたなく届けてやった、ドアを開けて出てきたのは、よく見かける男の人で高級車を2台持ってる愛想の良い人だった、その夜、彼が大きなケーキを持ってニコニコして訪ねてきた、彼が言う、財布を届けてくれる人なんてアメリカ中探しても一人もいないよ、なんと言う親切な人なんだ、私はあなた達のような人と同じアパートに住んでる事を誇りに思う、と言ってケーキを置いて帰って行った。僕はアメリカにはこんな人も居るんだ~、この人と同じアパートに住んでる事を誇りに思った。