空想じじい

人生は七転び八転び。

じじばば共和国 58

そしてついに係長も軽い胃癌で胃の切除手術をした。
体重もぐんぐん減っていったし、何より辛いのは大好物のフンコロガシのから揚げが食べれない、食べれるのは1日にうどんがたった3本だけ、抗がん剤も気持悪いし生きてても意味がないような気がした。

そうだ!最後に大好きな釣りに行って酒を呑んでもう人生を終わりにしよう。係長はさっそく三途の川に釣り船を呼んで共和国の釣り仲間20人と夜釣りに出かけた。

ところが他の人はどんどん釣り上げるのに係長の竿はまったく反応がない、やっぱり神に見放されたんだと思って落込んでしまった。

もう帰る時間が迫ってきた、仕方ない人生終わりにしようとつぶやきながら自分の足をイカリに紐で縛って海に投げ込もうとした時だった。

係長~~~待って!。と心の優しいまりちゃんが叫んだ。やっぱりあっしの事を心配してくれるのはまりちゃんだけだ、と係長は胸が熱くなった。
止めないでくれ!、まりちゃん。

係長それじゃあ駄目ですよ、足を結んでる紐が解けそうです、と言って心の優しいまりちゃんは、ゆるんだ紐をぎゅ~~~っと強く結んだ。
いたたたたた、ありがとうまりちゃん、いつも親切にしてくれて、じゃあ先に逝くからね。

わかった行ってらっしゃ~~~い。

一匹も釣れなかったのが心残りだが人生なんてこんなもんでやんすとつぶやきながらイカリを持ち上げて海に投げようとした時だった、係長の竿が大きくしなった。

係長~大物がかかったぞ~~~。

え~~~そうでやんすか?やった~~~すぐに行くと言ってあわてて甲板にイカリを放り投げたと思ったが、
海の方だった。