空想じじい

人生は七転び八転び。

我は海の子 20

夏休みに入ると間もなく稲刈りが始まりコウも兄貴も朝から晩まで手伝う、コウは昼の休みには魚釣りをする。

そして薄暗くなったら帰り支度が始まる、兄貴は竹の棒を持って田んぼの中でカエルを追いかけて叩いて失神させて遊び出す、コウも真似をしてカエルを叩くがなかなかうまく当たらない、命中するとカエルはひっくり返って両手両足を伸ばしてバンザイをして痙攣する、しばらくするとくるっと元に戻ってピョンピョンと逃げていく、それが面白い、でも死んだらいやだな~と思った。

ひとしきり遊んで兄貴と一緒に2キロの道のりを家に向かって歩き出す、もうあたりは真っ暗になってしまう、やっと海岸線に出ると、兄貴は稲のくずが体中に入ってて痒いから泳いでくぞ~と走りながら服を脱ぎすてて海に飛び込んで行く、コウも後を追いかける、でも海水は真っ黒でまるで墨汁の中を泳いでいるようで、もしゴボシが出てきたら尻を抜かれる、と思ったらコウは怖くてすぐに浜にあがった、

でも兄貴は沖に泳いで行って見えなくなってしまった、しばらくしたらあ~~~気持良かった~と言いながらあがって来た。そして兄貴はいちもくさんに家に向かって走っていく、コウも必死で追いかけるが、あっと言う間に置いてきぼりにされた。

翌日には近所の人が稲刈りを手伝いに来てくれる、総勢12人で朝早くから田んぼに出かけた。9時頃にコウよ、アイスを皆の分買ってきてくれと言われる、やった~コウは大喜びで皆の人数を数えて2キロ先の店に買いに出かける、往復で1時間ほどかかって帰って来た、コウは11個アイスを買って来た、1個足りないぞと兄貴が言う。おかしいな~ちゃんと数えたのにどうして?。兄貴が笑ったハハハハ~~~、おまえな~自分を数えてないんだハハハハ~~~。かあちゃんがコウにアイスをくれた。