かあちゃんが言う、コウよ、嵐の海にはゴボシがいるから泳いだら駄目だぞ、えっ!ゴボシって何?。波の大きな日に出てきて泳いでる子供の尻を抜くんや。えっ!するとどうなるの?。死ぬんや。
え~~~っ、ゴボシってどんな大きさ?どんな色?魚?。違うんや、ゴボシは見えないんや、そ~~~っと近づいてきてバクッと尻を抜くんや、だから波の大きな日は絶対に泳いだらいかん。
コウはゴボシが見て見たくてしょうがない、でも見るためには嵐の海で泳がなくてはいけない、コウは臆病なので波の穏やかな日に泳ぐのも怖くなってきた。
それからと言うもの、コウは友達と泳ぎに行く時も皆が海に入ってゴボシに尻を抜かれないのを確認してから最後に入るようになった。
ある夏の日の干潮の時だった、ずいぶん潮が引いて今まで見えなかった岩が見えるようになっていた、30メートルほど沖の岩場の潮溜まりに大きな魚が間違いなく取り残されている、心がはやってそれを捕まえようとして皆テンションが上がる、競争で服を脱ぎ捨てて浜から走っていって海に飛び込む。
無頓着な金ちゃんが1番だった、ヤッホ~~~と言って猛ダッシュで走っていって海に飛び込んだ、ザブ~~~ン、次の瞬間いててて~顔を血だらけにして金ちゃんが頭を抱えて上がって来た、岩に頭をぶつけたのだハハハハ~、いててて~、ハハハハ~、いててて~、いつまでもいつまでも楽しい笑い声が続いた。