空想じじい

人生は七転び八転び。

我は海の子 15

もう夏の夜の8時、外は真っ暗になった、町内放送がある「あ~っ、あ~っ、え~っ、え~っ、今月の売り上げ金を取りに来てくださいガチャガチャガチャ。」
コウよ!漁協に今月の売り上げ金をもらいに行って来い!え~~~っ嫌だな~でも逆らえばとっちゃんに殴られる、コウの一番嫌なおつかいだ。漁協は寺の隣にあって石碑が立ち並んでるし、真っ暗だし、竹やぶがざわざわいってるし、マムシも出るし、猫も居るし、怖くてしょうがない、でもしぶしぶ漁協まで行くとすでに行列が出来ている。

嫌だな~漁師はみんな声がでかい、態度もでかい、漁師のおやじ達が話してる声は1000メートル先まではっきり聞える、子供達も何人か並んでる、同級生もいる。
え~~~っと、はっちょみ屋さん今月は15万円、大漁だったね~。次はえ~~~っと、勘助屋さん今月は9万円、まあまあだね~。え~~~っと、次は~コウの顔を見るなりあっ万吉屋の次男か?えっ!3万違うか?なんだ!3千円か?ハハハハ~、後ろの方から叔母さん達がクスクス笑う声が聞えてくる。
 
コウは恥ずかしいのと寺の前を通るのが怖いので大急ぎで家に帰る、同級生も居たので明日学校で何か言われないだろうか?と不安になる。

あ~ぁ、よその家の親父達はイナダが釣れ始めると全速力で漁場へ向かって大漁をするが、家のとっちゃんはどっか関係のない所へ行ってサバを大漁に釣ってきては塩辛を作って喜んでる。