空想じじい

人生は七転び八転び。

我は海の子 14

魚釣りのヘタなとっちゃんは毎日夕方になるとサバの塩辛で焼酎を飲む、家は貧乏なのでよほどの大漁をしないと一升ビンでは買えない、めったに大漁をする事がないからいつも一合づつ買う。

コウの家は海抜20メートルくらいの所に建っていて海まで直線距離で30メートルくらい、酒屋さんまでは下り坂を下りていって50メートルくらいで途中に3段の階段がある、夜は真っ暗で道も見えなくなる。

おい!コウよ!焼酎買って来い!と酔っ払ったとっちゃんに呼ばれてお金と茶碗を渡される、もう外は真っ暗だけど逆らったら怒られるので買いに行く、店の人に茶碗と金を渡すと焼酎の樽からキュッキュッと栓を緩めて茶碗に山盛りに入れてくれる。

わ~~~こぼれる~と思いながらそ~と歩き出す、少しづつこぼれていく、そして階段に差し掛かった、階段に気をとられて、つまずいてほとんどこぼしてしまう、案の定とっちゃんに怒られた。

とっちゃんにもう1回行って来い!と言われてまた茶碗を渡される。おかしい、家には水筒もあるし、カラの一升瓶もあるし、丼もある、なのになぜ茶碗なのか?と思いながら店に行く。今度こぼしたら絶対殴られるだろうと思うと手が震える、階段に注意しながら必死になって家に帰って来た、今度は半分以上残ってた、でもこぼしてるから、今度は殴られるのかなと、とっちゃんの顔色をうかがうが、でもただ赤いだけでよくわからない。

お~帰って来たか、どれ!とっちゃんが茶碗をのぞいた、今度はたくさん残っとるハハハハ~~~、かあちゃんも、じいちゃんも、兄貴も笑う。

なんで?必死だったのに~何がおかしいの?