空想じじい

人生は七転び八転び。

我は海の子 10

この小さな漁師町にバスは1日に朝、昼、晩の3本しかない。そして夏休みが来ると従兄弟の秀さんが2週間くらい家に滞在する、コウより3歳年上だ。毎日泳いだり、魚釣りに行ったり、カブト虫を取りに行ったり、将棋をしたりして遊んでくれる、コウは楽しくてしょうがない。秀さんが家に来るとすぐにじいちゃんが作ってくれたワラ草履に履き替えて1日中ワラ草履で過ごす、帰る時まで履いている、コウも夏中履いている、コウのワラ草履はじいちゃんがコウの足に合わせて小さく作ってくれてる。これは磯釣りに行くときには1番安全な履物なんだ岩場を歩いても滑らないし、なんと言っても足が気持いい。そして楽しかった夏休みも終わりが近づいてくる、秀さんが夕方の最終のバスで帰る日がきた。急に秀さんがあわてだす、靴がない!!!おかしい昨日まで玄関に置いてあったのに、バスに間に合わないよ~~~と泣き出す、そこにじいちゃんがやってきた。コウよ!お前が秀さんの靴を隠したんだろ?速く出してやれ!バスに間に合わないと秀が帰れなくなるやろ、そしたらもう来年は秀は家に遊びに来なくなるぞ!アホ!急げ!。じいちゃんに怒られてコウはしぶしぶ秀さんの靴を出す、秀さんは泣きながら走ってバス亭に向かった。そして泣きながら帰ってきた、バスに間に合わなかった~~~。秀さんの滞在が1日延びた、コウは喜んだ。翌日秀さんは朝のバスで帰った。次の年の夏休みもまた秀さんが家に遊びに来た、すぐにコウは秀さんの靴を隠そうとしたがない???、あれ~おかしいな~~~。秀さんに先に隠されてしまった。