空想じじい

人生は七転び八転び。

我は海の子 9

小学校の3年生の頃だった、通知表をもらってくるとじいちゃんに見せる。通知表は5段階評価だった、お~~~っ電信柱が多いの~アヒルも泳いどる、カモメも1匹飛んどるの~ハハハハ~、コウの通知表はなかなか絵になって~ええな~。コウの兄貴の通知表なんか全部5や、つまらん。コウよ!勉強が出来る人が優秀な人間とちがう、偉い人間とも違うんじゃ。人から先生!と呼ばれて背広を着て後ろに倒れるんじゃないかと思うくらいふんぞり返って歩いてるようなバカな人間にだけはなったらあかん。そしてじいちゃんは腹が痛い~~~と言ってしゃがみこむ道路にうつ伏せになって痛がる、コウよ背中を押してくれ!と言う、肩の方からゆっくりと押す、コウは毎日の事なので慣れてる、そして腰の辺りまで押してくるとプ~~~~ッと音がする、あ~~~ガスが出た~すっきりした~~~と言ってゆっくりと立ち上がる、コウよありがとう。じいは胃ガンなんじゃ、もう永くないんじゃこんな辛い思いをいつまでもしていたくないわ、もう早く死にたいわ。コウはじいちゃんのこの言葉を聴くと、いつもなぜだか寂しくなる。