空想じじい

人生は七転び八転び。

我は海の子 7

通称「アニ~」アニ~は両手の指の数を超えると、い~っぱいと言う、11でも100でも同じ、い~っぱいだ。コウの隣町に住んでる、コウより3歳ほど歳上だ。農業も漁業も暇になると、コウの兄とアニ~は一緒に土方のアルバイトをしている、コウの兄がアニ~をからかう。アニ~に飴玉を5個あげる、もう5個あげる、あに~何個になった?う~~~ん10個。アニ~もう2個あげよう、何個になった?う~~~んい~っぱい。と言う。コウの兄が大笑いをする。当時は、アニ~のような人がこの漁師町にも隣町にも何人も居た、子供の頃はいじめられるが大人になったら誰もいじめるような人はいない。あるとき歯医者さんの別荘がコウの町とあに~の町の中間に出来た、綺麗な砂浜の前で日本映画の時代劇のロケによく使われる所だ。歯医者さんは週末だけ遊びに来てる、でも無医村で歯の悪い人がたくさんいるのでそこで週に1日だけ開業してくれた、とたんに行列が出来るようになった。アニ~も虫歯が出来て通い始めた、隣町からバスに乗ってくる、約4キロある、コウの町が終着駅だ。歯医者前と言うバス停も出来た、ありがたい。どう言うわけかアニ~は終着駅まで乗ってくる、そこから歩いて2キロ引き返して歯医者に行く、不思議に思ったコウのかあちゃんがアニ~に聞いた。アニ~どうして歯医者前というバス停が出来たのにそこで降りないのか?いつも降り損なうのか?ちがうよ歯医者前も終着駅もバスは同じ値段なんだよ、だったらちょっとでもバスに長く乗らなきゃ損するだろ~。