空想じじい

人生は七転び八転び。

十甲田山 2

それから3ヶ月が過ぎたある吹雪の夜だった、コンコン誰かがドアをノックす

る、さくらはビックリした、こんな夜中に誰だろう、もしかして、鶴の恩返し

かな?でも鶴を助けた覚えはない、そっとドアを開けてみると、屈強な男達が

5人居た。私達は遭難しましたもう3日何も食べてません、あ~ダイエットし

てるんですか?違います、何か食べるものと、それと今晩泊めてくださいお願

いします。分かりました、翌日いい天気になった、元気を取り戻した登山隊

は、お礼のしるしにとトレーナーとジーンズを買ってくれた、登山隊はみんな

大事な人の写真を持っていた、トレーナーに奥さんの顔や、独身の人は彼女の

顔を書いてもらった。全員そのトレーナーとジーンズを着て救助のヘリに乗っ

て帰っていった。その一部始終をテレビ局が生放送をした。あの登山隊が着て

いたトレーナーとジーンズは何処で手に入れられるのか?と言う問い合わせが

テレビ局に殺到した。それからしばらくしたら、お客さんが店を訪れるように

なった、どんどん増えていって1日10人くらいが来るようになった、それと

同時にゴミも増えていった、店から50メートルほど下った所にスプレー缶の

山が出来た、その下は一面の樹海になっている。さくらは最近この樹海で遭難

者がどんどん増えていると言うニュースをラジオで聞いた、不思議だ、お客さ

んに聞いてみた、どうやってこの店にたどりついたんですか?来るのは比較的

簡単です問題は帰りです、帰り道が分からなくなるので白のスプレーで木の幹

にしるしを付けながら来ました、帰りはそれを目印に帰ります、ここに来る人

はみんなそうしてます、そうですか、じゃあどうして遭難者が増えるんでしょ

うか?さくらはお客さんを見送る事にした、店から100メートルほど降りて

きて樹海を見るとまるで白樺林のようになっていた。