空想じじい

人生は七転び八転び。

生まれ育った所

リアス式海岸で、伊豆の景色がそっくりだ、僻地とか陸の孤島、と人は呼んでました、郵便局も病院も信号も水道も消防署も警察もない、小学校の全校生徒が100人位、よく山火事が起こってた、田んぼのあぜの草を燃やしていて、火が山に燃え移る、見に行くと必ず、山火事の火を利用して芋を焼いてる人がいる、今で言えば省エネ。病人が出て、救急車を呼んでも、救急車が着いた時にはすでに、葬式が始まってる。懐かしい麦踏み、麦が20センチ位に成長すると足で踏んでいく、手では踏みにくい、最初は面白いがすぐに飽きてきて、遊び始める、すると肥溜めにはまってしまう。臭いから誰も助けない、自分で何とかする、これも友達の奥の深い愛情がこもってる。潮が曳いて岩ずたいに50メートルくらい沖まで行って魚釣りをする、いつの間にか潮が満ちてとり残される、誰も助けに来ない、岸には大人が何人かいるのに、仕方なく荷物を持って服を着たまま泳いで帰る、途中溺れそうになる、岸にたどり着くと、笑いながら釣れたかい?と、大人が2~3人籠を見に来る、おーいっぱい釣ったな、上手だね、とほめてくれる、これも大人達の奥の深い愛情だ、海が荒れて暇に成ると、大人達は朝から酒を飲んで騒いでる、この辺では酒が沢山飲める人が一番偉い人になっている、それから大人達は良く耕運機の自慢をしてた、ロビンの新型速いぞ、どうたらこうたら、そのうち競争が始まり、谷底に落っこちてしまう、10人くらい酔っ払いが集まってきて皆で引き上げる。夜になると、よく親父に怒られる、とにかく、どこの親父達もよく怒ってた、どんな理由だったかあんまり覚えてない、多分ただのストレス発散だと思う、必ず電信柱にしばり付けられる、当時電信柱に子供を縛るのがはやっていたのか?その日、僕も縛られた、もう一生このままの状態で生活する事になるのか?と思うほど怖い、隣の電信柱にも誰かが縛られている、暗くて良く見えないが、大声で何か泣き叫んでる、おそらく、友達の満君だ、すこし離れた所で、大人達の話声が聞こえてる、満君が降ろされた、いいな~って思っていると、すぐ次の子が縛られた、そうか大人達は順番待ちをしてたのか、田舎だから電信柱の数が少なすぎるんだ。子供を縛るための立地条件の良い電信柱はほんの5~6本しかない、海のそばで道幅が広くなってる所の電信柱が一番人気で、そこから毎夜子供の泣き声が聞こえてた。