12月25日金曜日、家内が退院するので自分の定期検診を終えて、長女を連
れて迎えに行った、長女は少し具合が悪い僕から離れられない、もうとっくに
昼を過ぎてしまった、病院に着くと、家内は荷物をまとめて待っていた、また
少し元気になっていた、うれしい、じゃあ帰ろうか?ちょっと待って隣に挨拶
してく、隣の部屋から出てきたのは僕と同じくらいの年の男の人でニコニコし
ながら、退院おめでとう!と言って、エレベーターまで見送りに来てくれた。
家内が言う、あの人お坊さんなんだよ、奥さんが死んだショックと、寺の経営
がうまくいかなくなったのとで、ウツ病になって過呼吸がひどくて入院してる
んだよ、お坊さんがウツ病なんて初めて聞いた、寺って儲かるんじゃないの?
坊主丸儲けじゃないのか?真面目で人のよさそうな顔してるもんな~、よっぽ
ど正直なんだな~。よくなったら自閉症、発達障害とか障害を持った子ども達
の居場所を作る、そのための土地も用意した、寺は息子が後を継いでいる、残
りの人生はそう言う活動をする予定ですと言ってた、さすがお坊さんだね、そ
れで何処につくるの?それが家から200メートルくらい先の山の中だよ、え
~そうなんだ、犬の散歩コースじゃないか歩いていけるな、じゃあ俺も手伝い
に行ってやろうかな~、ウツになるようでは頼りないもんな~、俺もたよりな
いけど。大昔、永平寺のそばのユースホステルに泊ってキャンプファイヤ~を
やって皆で歌を歌って踊って楽しかった、その時にオーナーが、言う、永平寺
のお坊さんは顔の色つやがよかったでしょう、どうしてかわかりますか?あの
ね~夜中になったら町中永平寺のお坊さんだらけだよ、焼き肉屋、すし屋、居
酒屋、ほ~菜食じゃないんだ?菜食で顔も頭もあんなに光るわけないでしょ
う、後光がさしってたでしょ、僕はまだ若かったので、なるほど世の中は表だ
けみてたらだめなんだ、永平寺のお坊さんに世の中の渡り方を教えてもらっ
た、こうやって世の中は生きて行かないといけないんだ。お坊さんに感謝し
た、来てよかった。さすがだお坊さんありがとうございました。そう言うふう
に生きればウツになる事もなかったのに、家内の隣の部屋のお坊さんも、永平
寺で少し修行した方がいいんじゃないか、と思った。(本)