空想じじい

人生は七転び八転び。

重さんが来る

俺さ~肺がんの手術する事になっちゃったよ~、あっそ~ひどいのか?分から

ないんだ、とにかく急がないといけないと言われた、あっそ~、手術すりゃあ

いいじゃん、なんだビビッてんのかよ~ハハハハ?なさけね~な~、お前以外

と臆病なんだな~。で電話を切った。次の日の昼過ぎピンポ~ン、ドアを開け

ると重さんがいる、どうしたんだよ~、お前があんまりビビッてるから来てや

った、東京を朝出てドライブインに寄りながらぼちぼち来た、3時間くらいで

着いたよ、なかなかいい所だね~、と言って大きな袋をホラッ!と置いた、病

院で必要な物を全部そろえて来てやった。俺は入院は慣れてるからな、20年

前に膀胱ガンで膀胱を全部取ったろ~、もう駄目だ!と完全に諦めてたけどさ

~、とりあえず手術して、それから年に3回くらい毎年手術してるんだぞ~、

もう20年も、最低60回は手術してるってことだ、それ以外に腸閉塞も起こ

すし大変だよ、でも孫の顔が見れた、信じられない、めちゃめちゃかわいいぞ

~、やっぱり生きててよかった~って思ったよ。大丈夫手術なんか怖くないよ

寝てる間に終わってるから、駄目なら駄目でしょ~がないじゃないか、人間、

何時死ぬか分からないのはみんな同じだよ。俺も来月また手術だ、終わって1

ヶ月くらい静養したら、アリゾナへ遊びに行ってくるわ、インディアンジュエ

リーを買ってくる一緒に行くか?行きたくないよ、あんなとこ、だって俺はテ

ントで半年住んでた、ガラガラ蛇とさそりしかいないぞ~、ハハハハそうか。

重さんがきてくれて、少し気持ちが楽になった。その夜兄の友達から電話だ、

彼は肺がんで片方の肺を取ってから3年経つ。もしもし、お~クソジジイか~

ハハハハ~、手術か、寝てれば終わってるよ、その後が大変だ、しばらくきつ

いぞ~、それから検診に行くたんびにドキドキして、それが何年も続く、今お

前の兄貴と酒飲んでるわい、まあ大丈夫だよ~、がんばれーハハハハ~。何だ

みんな僕がガンになってよろこんでるのか?まあそんな事はない。さすがに夜

は眠りにくい、どーしてもガンのことを考えてしまう、酒を飲んで寝る。結局

手術はしたが、幸いガンではなかった、何か損したような気になった。それか

ら3年後、胃ガンの手術をする事になる。手術の何日か前から入院をしてい

た、突然重さんが病室へ来た、また大きな袋を持ってきた、お~今度は本物の

胃ガンか?ハハハハ、いいよな~お前は、一回切ってしまえば良いんだから、

俺なんか今でも毎年3回くらい全身麻酔の手術をしてるんだぞ~、あと2週間

後また俺も手術だ、もう慣れてるけどな~めんどくさいわ、退院はお前と同じ

位になるな~、胃ガンの方がいいよ、1回で済むんだろ~?変われるものな

ら、変わってほしいよ~。でも手遅れだったらどうする~?それでも変わって

ほしいよ。