空想じじい

人生は七転び八転び。

野良猫

あれは春の終わり頃だった、白で、目の周りと耳の先が黒のパンダの出来損ないのような野良猫が家の庭をうろうろし始めた、あまりにも痩せて小さかったので犬の餌をあげたらしょっちゅう来るようになった。

「パンダの出来損ないの痩せこけた尻尾の曲がった臆病者の白い猫」と名前を付けて時々餌をやっていた、ところが長女が名前が長すぎると言うので仕方なく改名をして「白」と言う名前にした、この地区では野良猫に餌をあげるのは禁止されてはいるが、白は他の野良猫に何時も餌を取り上げられて、いじめられてかわいそうだったので夜に内緒で餌をあげていたら少しづつ肥り始めた。

白が家に来るようになって長女も俺も癒されるようになった、白がこない日には長女がどうしたんだろう?と心配する。大丈夫だ猫は気まぐれだから又来るよ。

そうこうしてるうちに白は丸々と肥った、そしてパタリと来なくなった、長女はどうしたんだろうか?お父さん。と心配する、大丈夫また来るよ。

2~3週間がたってやせ細った白が来た、頭に怪我をしている、捕まえられないし、せめて傷が早く治るように猫用の餌を買ってきてあげた、翌日も来た今度は太ももの毛が直径5センチほど抜けて血もにじんでる、来るたんびに何処か怪我をしてる。

それから又しばらく来なくなった、ある夜の事ニャ~、ニャッニャッニャッニャッ、白が来た!急いでリビングの窓を開けたら白が2匹の子猫を連れてきた、真っ白と、茶色のかわいい子猫だ、餌をたくさんあげた。ひとしきり餌を食べたら白が横になって子猫に授乳を始めた、白が大きく見えた。

そうか白の怪我のわけがやっとわかった、白は子猫を守るために命がけで敵と戦ってたんだ、頑張ったね偉いぞ白!

そして昨日の朝の事、隣の家の前で何人かの叔母さん達がなにやら話してる、どうしたんですか?。いや~あれ見て!、見ると隣の家の庭の真ん中で白い猫が死んでいた。

まさか!白?、間違いなかった。