空想じじい

人生は七転び八転び。

きょんちゃん 36

もう12月も終わろうとしている、いよいよ来年の3月できょんもデザイン学校を卒業する、でも就職がない。だが3年間よく学校に通った、片道1時間半もかかるのに、時々電車の中で過呼吸をおこしてすぐに家に帰って来た時もあった。学校にはきょんが障害を持ってるとは言ってない、健常者として通い続けた、おそらく先生は気がついてるとは思うけど。
 
ねえお父さん学校を卒業してからの事だけど、この家に住ませてもらうでしょ?。ああ。掃除婦のアルバイト募集をしてる病院をみつけたの、ここから近いし自分1人で通えるし、家の仕事も手伝うよ、それでいい?。源之新は一瞬ことばに詰まった、悲しさと、やるせなさと、かわいそうにと、思う気持が同時に出てきた。でもきょんなりに考えて自分で決めたんだ、客商売なんかきょんにはとても無理だし、1人でもくもくとやる仕事が自分に合ってるという事がわかったんだろう、きょんは自分の事がだいぶわかってきたんだ、ずいぶん悩んで決めたんだろう、源之新は、う~んそうか、と明るく返事をした。
 
さて家内には言いづらい、月に12万円も授業料を3年間も払ってなんで掃除婦なの?と怒るだろう。源之新にとって最初の心配はどうやって家内を説得するかだ、その次の心配は掃除婦の面接が通るのかどうかだ。