空想じじい

人生は七転び八転び。

道路

ついに栄角総理大臣が誕生した、とにかく押しの強い総理大臣だ、反対する議員にはコブラツイストをかけて、参った!と言わせる、誰もさからえない、栄角総理の意見は100パーセント通ってしまう、日本列島をどげんかせんといかん、高度成長の真っただ中だ、新幹線もどんどん延びていく、高速道路もどんどん延びていく、次は北海道から沖縄まで片側20車線の道路を作る事にする、と言えばもう出来たも同然、秘書の沢小は原稿作りに大忙しだが、几帳面で家計簿もつけている、何とか徹夜で原稿を作った、翌日の国会ですんなり通過してしまった、北海道から沖縄まで片側20車線の道路の建設が決まってしまった、栄角に逆らうものは誰も居ない、調子に乗った栄角はよっーしゃー、イノシシ、鹿、蝶、しか住んでない所にまで高速道路を作ろうと思い立つ、さっそく沢小と打ち合わせをする、沢小は連日の徹夜で意識がもうろうとしている、しかし栄角には逆らえない、逆らえばコブラツイストを掛けられる、機嫌が悪いと参った!と言ってもしばらく続く、怖くて何も言えない、家へ帰って原稿を書く、机の左に家計簿、右に原稿を置いている。え~と高熱費が3万と、え~と食費が8万と、え~と部屋代が27万7千と、ぼんやりしてて間違えて原稿の方に書いてしまった、翌日栄角の演説が始まるよっしゃー、ま~その~日本列島をどげんかせんといかん、高熱費が3万円?よっしゃよっしゃー日本の隅々まで道路の整備をせにゃいかん、ま~その~食費が8万と?誰一人聞いている議員はいない、ほとんどの議員は居眠りをしている、まあその~道路の総面積はえ~とよっしゃー、なんだ?27万7千キロ平方メートルになる、コラー!と椅子をぶん投げたのはただ一人、浜田幸一之助議員だけだった、この人は気も短いが手足も短い、少し肥りぎみだ、あんまり関係ない、賛成多数で可決した、さっそく翌日から工事が始まる、まず立ち退きをせまられる家が沢山あるが、文句を言えばコブラツイストを掛けられるので怖くて誰も文句は言えない、山林、田畑、の買収といろいろな問題があるがやっぱりコブラツイストを掛けられるのが怖くて誰も文句を言わない、1年後ようやく工事が終わりかけた、ある大手のゼネコンの社員が大声でさけんだ、なんてこったー、27万7千キロ平方メートルと言うとほぼ日本の国土の面積だぞ、いったい俺達は何処に住めばいいんだ!。そして日本全土が道路になり、八丈島に1億2千万人が住む事になった。