空想じじい

人生は七転び八転び。

車椅子の銀行強盗 下

イタタタタ~ワゴン車の後ろに顔面を思いっきりぶつけた、鼻血で顔が真っ赤になった、せっかく奪った金も見当たらない、ジェットエンジンも壊れてしまった。あ~あしょうがない、しかし大村君は前向きだった、気を取り直してもう1度銀行強盗をやろう、車椅子を手でこぎながら次のインターを降りた。海岸線の道路に出た「USO銀行海沿い支店」と言う看板が見えてきた、さっそく入って行った、すいません銀行強盗に来ましたよろしくお願いします。お客さんすいません整理券を取ってお待ちください。はい。また随分待たされた、23番でお待ちのお客様3番窓口にどうぞ~、今日はどのようなご用件でしょう?銀行強盗に来ましたよろしくお願いします、え~~~っそれで凶器はなにをお持ちですか?話せば長くなるんですが良いですか?はいどうぞ~。え~っと、僕は泳げるんですよ。はい。平泳ぎができるんですよ~。それはすごいですね。でもね息継ぎができないんですよ、どーしても水面に顔が出ないんですよ。そーですか、この漁師町ではそれを「カナヅチ」と言うんです。そう、それを持ってきました。あ~でもそれは凶器にはならないです。そーですか残念。何か飛ぶ物とか刃物とか持ってないんですか?さっき道端でスズメのヒナを拾ったんですかわいそうに、たぶん巣から落ちたんでしょうこれはどーですか?それはまだ飛べないでしょ。そーですか残念です、あとはこんなもんしかない、とボタンを出した、なんですかそれ。これはね押すと車椅子の横についているミサイルと言うやつが発射するんです、押してみますね。ちょちょちょっと待ってください絶対に押さないでください押したら大変なことになります。お金はすぐに用意しますから絶対に押さないでね。え~~~っそんな大変な事になるんですか?はい絶対に押さないでくださいね。押すな押すなと言われるとなんだか押したくなってきたな~。押してみよっと。あ~~~っやめて~~~。大村君はボタンを押してしまった。ド~~~ン。ミサイルを発射した、反動で車椅子は海まですっ飛んで行った。ドッポン。あ~~~びっくりしたミサイルって恐いな~~~僕が海まで飛ばされたハハハハ~、でも大丈夫だ、僕は平泳ぎが出来るんだ。