空想じじい

人生は七転び八転び。

永ちゃん

さらに昔の話になる、僕が20代の前半のころの話、仕事が終わって車でアパートに帰る途中、車が一台くらいしか通れない狭い道路が少し続く所がある、民家はまばらになる、その道路脇に一台の軽自動車が亀のようひっくり返っている、こんなゆるいカーブでよくひっくり返ったもんだ、ただもんじゃないなーと思いながら、アパートへ帰ると、林君から飲みに行こうと電話が入る、林君も僕と同じ空手の道場に通ってる、師範は永ちゃんだ、(昔はなの応援団と言う漫画があった、主役の青田赤道を想像すれば近い)永ちゃんの家の近くの居酒屋へ飲みに行く、久振りに会った、僕はもう1ヶ月くらい道場に稽古に行ってない、そのうち永ちゃんの話になる、僕は永ちゃんの事は小さい時から知っている5歳年上だ。耳が悪いのと、どんくさいのと、勉強が出来ないので、小さい時からずーといじめられ続けてきた、空手を始めるきっかけは、「喧嘩に勝ちたい」ただそれだけだ。林が言う、永ちゃんがな、この前やくざもん五人と喧嘩して、全員病院送りにしてしもた、握りこぶしを見せながら「このコブシがやったんじゃ!ガハハハハ」と自慢してた、後で警察に怒られたらしい、いかにもたこにも永ちゃんらしいな、それから仕事で指を骨折した、病院でギブスを付けてもらって帰ってきて、次の日に自分でギブスを外して、巻きわらを突いてた、指が折れてるのにか?そーだよ、「骨折くらい、気合いでなおるんじゃガッハッハッハ」と笑ってた、ウーン、バカを絵でかけ、と言われたら永ちゃんを書けばいいな、ハハハハ。そこへ永ちゃんが入って来た、お前ら来てたのか?俺を呼ばんかい!なーんで呼ばないんじゃ!ヨーシ飲も、オーイ大将ビールじゃんじゃん1本持って来い、ツマミがなくなったらメニューの右端からどんどん持って来いよ、ガッハッハッハー、永ちゃん最近ずいぶん活躍したらしいね?まーな、骨折は治ったの?こんなもん2週間で治った、医者がビックリしてたわ、ガッハッハッハ、今日も狭い道路に車を止めてるやつがいて、通れないからひっくり返してやった、ガッハッハッハッ、やっぱりそうか、一人でかい?あーたりめーえよ、永ちゃんそれ日本では犯罪って言うんだよ、しってたか?なんだか知らないけどよー、あんなとこに置いてる方がわるいやないかー、通れないんだぞー、俺が正しい!アーァだめだ、永ちゃんのために、誰か地球を回してるやつがいるぞ~。