空想じじい

人生は七転び八転び。

花の係長が不老不死の薬を発明した 後編

花の係長が消えてしまってから9年が経った、係長の伊豆の別荘も古くなって、あばらやになった、そこにホームレスの夫婦が住みつくようになってしまった、2人とも同じ孤児院に居た、入所者のほとんどの人は親の顔も自分の名前すら知らない、仲間の8割は、ぐれてしまう。子供の頃に親に捨てられたという心の傷はトラウマとなってなかなか消える事はない。だがこの2人は前向きだった、親が捨ててくれたから自分達は強くなれたんだ、心から親に感謝してる、と言う。そのうち2人は元気な男の子をさずかった、桃太郎と名前をつけた、桃太郎はすくすくと育った。ある日の事父親はちょっと強羅温泉に行ってくるといって出かけた、帰りが遅すぎる!20年経ってしまった、だが父親は2度と帰ってくることはなかった。その間母親が必死になって、ほりっぱなしで桃太郎を育てた。貧乏だったので御飯のおかずは毎日キャベツにマヨネーズを付けて丸かじりだった。桃太郎が24歳になった。桃太郎や鬼が島へ鬼を退治に行って来い!いやだ俺は争い事は嫌いだし~鬼が島にアイナメ釣りなら行ってもいいでやんす~。ちっとも母親の言う事を聞かなくなった。でも製薬会社に就職して新薬の研究開発をする事になった。桃太郎は一人前になった、そしてついに母親の実家が見つかった、母親は「花の種子」と言う名前だった28年ぶりに実家に帰ることになった。それから桃太郎は「花の係長」と改名した。母親と別れて伊豆の別荘に1人で住みだした、そして16年が経った40歳で退職して箱根の別荘の地下室で不老不死の薬の研究に没頭した。やった~~~っついに完成した、あっと言う間に10年が過ぎていた。10年ぶりに実家に帰って愕然とした。お母さんは去年亡くなったらしい。係長は後悔の念に駆られながら箱根の別荘に母の位牌を持って帰った、でも位牌を電車に置き忘れてきてしまった。冷蔵庫に小さなコップに小分けして入れてある不老不死の薬を2杯飲んだ1杯で10年若返る量にしてある。30歳まで若返った、髪の毛がふさふさに生えてきた、目も見えるようになった、切れ痔も治った、水虫も治った。だが係長はその事に気が付いてない、なんせ酔っ払って意識がもうろうとしてる、そうだ!母と楽しく過ごした10歳代に戻ろう!さっき2杯飲んだ事をすっかり忘れてる、え~と今50歳だから4杯飲めばいいか。一気に4杯飲み干した。突然係長は消えてしまった、すると係長の箱根の別荘の庭にたくさんのキャベツが生えてきた。