空想じじい

人生は七転び八転び。

死んだじいちゃんの弟

死んだじいちゃんの弟が、ブラジル移民船の船長をやっていた、日本に帰って

くると緑の大きな缶を土産にくれるMJBと書いてある、多分コーヒーだと思

うが、じいちゃんがコーヒーを飲んでるところは一度も見た事がない、たぶん

嫌いだったんだろう。じいちゃんの兄貴はいつも散弾銃を持ってあちこちうろ

うろして危ない人だった。この弟は一航海でいくらと言う給料をもらう、多分

一航海100万円を超えてたと思う、今なら1000万円くらいだと思う、で

ももらうとすぐに乗組員を全員連れて飲み食いさせてほとんど使ってしまう。

家には金は入れないし、めったに家にも帰らない、子供の顔、奥さんの顔も忘

れてしまってる、家族は自給自足できるだけの田んぼと畑を持ってて細々と生

活している、じいちゃんの弟は一年中海の上にいる今みたいなGPSもない天

気予報もあてにならない時代航海は命がけの仕事だった、じいちゃんはしょっ

ちゅう、家族が貧乏してるんだから少し金を家に入れろ、もう十分好き勝って

しただろ~いい加減船乗りは辞めて家族と一緒に暮らせ!といっていた、そし

てついに、じゃあ次の航海で陸に上がるからと言って最後の航海に出て行っ

た、何ヶ月か後無事に日本に帰ってきた、と思ってた、そこへじいちゃんに電

報が届いた、弟が死んだ。まさかだった。どうやら無事に日本の港についたら

しい、がそこで船から転落したと言う、目撃者は一人も居なかった、警察も調

べたが事件性がない事故だと言う、じいちゃんは信じられない自殺するような

奴じゃないし、人に嫌われて突き落とされるような奴じゃないし、無事に最後

の航海を終わらせたのになんでだ~本当に分からない。やっとこれから家族全

員そろって生活できると思ってたやさきなのに。