空想じじい

人生は七転び八転び。

楽しかった葬式 前編

チーン ドーン ジャーンと葬式の列が墓場に向かう、当時は土葬だった、百

軒くらいの村全体が一つの家族のようにしている。死んだとか産まれたとかは

日常になっている、村人達はお金はないが海の幸、山の幸、に恵まれてて食べ

ていく事には困らないのでのんびりしてるし人もいい。その葬式の列をたくさ

んの人が取り囲みながらついて行く、どうしてかと言うと、10円玉や5円玉

をばらまきながら歩いて行くからだ、多分あの世には金を持って行けないし、

今まで世話になりましたと言う感謝の意味だと勝手に思う。参列者はみな神妙

な顔をしている、だが周りの見物人はお祭り騒ぎだ。魚釣りに使うタモ網を持

った人やら、帽子やら、エプロンを広げた人やら、座り込む人やら、拾おうと

した手を足で踏まれる人やら、かかとを踏まれて脱げてしまった靴を探す人や

ら、服の袖を引っ張られて袖が取れてしまう人やら、つき飛ばされて頭からド

ブに落ちる人で大騒ぎになる。僕は人ごみが苦手なので端っこの方に居るので

たくさん拾えないせいぜい百円くらいだ、でも一日の小遣いが10円だったの

で僕にとっては大金だ。特に金持ちの家の葬式はたくさん金をばら撒くので人

気だ。とは言っても貧しい漁師町なので大した金持ちはいない、しかしここの

ところ貧乏な家の葬式ばかり続いている、大人達が話している次は○○屋の爺

さんの番だな~もう80なかばだからな~あそこは金持ちだからたくさん金を

撒くぞ。本当?やった~これはいいことを聞いたぞ~。でも○○屋の爺さんは

90歳まで生きた。そのときには僕は高校生だった部活で忙しくて葬式にいけ

なくなっていた。