空想じじい

人生は七転び八転び。

きょんちゃん 9

最近薬が増えてからきょんはテンションが高すぎる、茶碗を流し台にほうり投

げる、家内が嘆く、こんな乱暴な子じゃなかったのに、だが源之新はこれが本

来のきょんなのかも知れない?今までいい子を演じてきたんじゃないかと思

う、そうだとしたら辛かったろう、つかれたろう。最近いろんなことをやりた

がる、テンションが高すぎるのが少し心配だ。以前に入院していたときの主治

医、五条先生は、徐々に薬は減らして行きましょうと言って、徐々に薬は増え

ていった。源之新にはトラウマになっている怖い。今度はボランティアをやる

と言い出した、自分で福祉施設に電話をして週2回行くことに決めてしまっ

た、ボランティアをしてほしいのは家だ!そんな事はきょんに言えない。家の

前にバスの始発駅、桃源郷バス停があるので行きは簡単だ、でも帰りのバスの

乗り方が難しいから迎えに来て!と言う、わかったそうしよう。何度か行っ

た、元気に帰ってくる、楽しいというだけでそれ以上しゃべろうとはしない。

今度は帰りも一人でバスで帰ってくると言う、わかった挑戦してみなさいと源

之新が言う。じゃあ今日は行きも帰りも自分で行って来るね!といって出かけ

た。それから20年がたった、ちょっと帰りが遅い源之新は心配になってき

た、どうしたんだろう?やっときょんから電話が入った、おとうさん、朝降り

たバス停で待ってるんだけど、ここに止まるバスはみんな駅に行くよ、桃源郷

行きのバスは来ないんだよ。きょん!桃源郷行きは道路の反対側から乗るん

だ!