その日は午前中にOさんがパラシュートが開いた状態での空中衝突事故で僕達
の目の前20メートルくらいの所へ落ちた、ビックリした、即死だ!これ以上
詳しい事は書きたくない。ちょっと前に一緒に酒を飲んで話したばっかりだっ
た、コンピュータ関係の会社を自分で立ち上げて従業員も5人いた、穏やか
な、いかにも人の良さがにじみ出てる人だった。まだ死んだと言う実感が全く
ない。空気も体も気分も重くなってしまった。帰ってしまった人もたくさんい
る。今日はもう飛びたくないと思ってた所に親父さんがやってきた、バカヤロ
コノヤロ!こんな事は皆覚悟してやってるんだ、これで落ち込んでてこんな危
ない遊びが出来るか!行け!飛んで来い!この腰ぬけが!夕方に飛ぶ事になっ
てしまった。5人乗りのセスナで離陸するデイブと僕は2人でターンの練習を
する事にしたがやっぱりあんまり気分が良くない、息苦しいし、だるい感じが
してた、でもやめるわけにもいかない、親父さんに怒られる。しぶしぶ飛行機
に乗る、飛行機が12500フィートに到達した、よしっ!行くか!2人で飛
行機から飛び出す、交互にターンの練習をするフリーフォール60秒を過ぎ
る、お互いに逃げてパラシュートを開く、上を見るとラインがねじれてるコン
トロールできない、こんな事はよくある事だそのうち戻る、だが同じ高さ真正
面にデイブのパラシュートも同じ様になってる、僕のよりもっとねじれてる、
なんてこった!まっすぐにこっちに向かってくる、このままじゃ正面衝突だ!
おそらく時速40キロ位は出てる。ぶつかってパラシュートが絡んだら2人と
もあの世行きだ、焦った、すごいスピードで近づいてくる、あ~もうだめだ!
と思った瞬間僕のパラシュートが元に戻ってちゃんと開いた、大急ぎで右に旋
回、少し高度差が出来たと思った瞬間、デイブのパラシュートが僕の膝にぶつ
かった、靴にひっ掛ったが足をバタバタしたらうまく外れた、やった~ヒ~ハ
~、デイブも叫んでるのが聞こえた、あと1秒パラシュートが正常になるのが
遅かったら一日に同じ様な事故が2つ起る所だった、急に体も気分の重苦しさ
も楽になった、地面に降りた、何とか今日も生きてた~。明日の朝まではたぶ
ん生きてるだろう。こんな事があっても又明日も飛ぶんだ、だから人は俺たち
の事を気違いだって言うんだ。(本)