空想じじい

人生は七転び八転び。

早まった

丈、と源之新、は幼馴染、丈は美大を出て絵書きに、源はコンピュータ関係の会社に勤めている、携帯に丈からメールが入る、話がある7時にいつもの焼き鳥や、コケコッコーで待ってる。とりあえずビールで乾杯、おやじメニユーの左端から20種類2本ずつ、それから、ネギ間はネギ抜きで、丈が話し出す、俺はもうだめだ絵の才能がない死にたい、何言ってるんだよ丈、諦めるな、人生山あり谷あり皆そうだよ、それを乗り超えてくのが人生の醍醐味じゃないか、俺にはその山が高すぎるチョモランマ級なんだよ、もう死ぬことに決めたんだよ。翌日いかにもいかがわしそうな病院を探して、先生に胃ガンに成って死にたいんです、と言うと、はいわかりました、ちょうどいいドナーがいます姓はくそ名はじじい、ステージは限りなく4に近いので移植すれば1ヶ月くらいで死ねると思います、死ぬ前に人助けをしたいとお考えですか?すばらしい、気に入った、明日手術しましょう、翌日手術台2台並べて置かれ、手術が始まった8時間で終了、成功した、くそじじいは大喜びで終わったばかりなのに走り回っている、丈は、痛い気持ち悪い苦しい辛い、日に日にわるくなる、1ヶ月後先生から家族親戚を呼んでください、と源に電話が入る、いよいよですか、やつには親戚も家族もいないので私が行きます、ちょうどその時、丈の絵が日展に入選した、と言う情報が入った、源は病院に向かったそして丈に、おまえの絵が日展に入選した、「逆立ちをして林檎を食べながら踊ってる女」の絵だよ、痩せこけた丈が、何だって まさか、しばらく沈黙をした、丈が力のない声で言った、生きたい、もう一度生きたい、たたたすー。それが最後の言葉だった、源ちゃんは唇をかみしめた。