空想じじい

人生は七転び八転び。

中華まんじゅう

居酒屋東電の新製品の中華まんじゅう「インペイ」が一大ブームを巻き起こしてる、見た目は肉まんにそっくりだ、口に入れると口の中でバラの花が咲いたような、まったりとした天にも昇るまろやかさ、それでいてピリッとパンチの効いた味、冷めても美味しいと大評判になった、1日10万個作るが2時間で完売する。その秘密は特別なスパイスを使っている、このスパイスは製造部長のお種ちゃんと幹部連中しか知らない、最重要企業秘密だ。今年久しぶりにお種ちゃんがお盆に里帰りしたら20年ぶりに小学校の同窓会をやると言うので参加した。同級生の半数くらいが参加してた。とりあえずビールで乾杯で始まった、もう顔を見ても誰が誰だかさっぱり思い出せない、男性軍は頭はハゲてるし腹は出てるし名前を聞いてやっと思い出す、すでに亡くなった人も何人かいた、今入院してる人もいる、カンちゃんなんか認知症になってるし、ユキちゃんは白髪が増えたがいまだにマザコンだ。懐かしい。お種ちゃんと一番仲良しだったトメちゃんに会った、あ~~~っ懐かしいトメちゃん元気?元気だよ~お互い元気でよかった~~~、ところでお種ちゃんの店のインペイは凄い人気だね~特殊なスパイスが入ってるんだって?教えて欲しいな~、う~んいくらトメちゃんでもそれは教えられないよ、絶対人には言わないからお願い、駄目!じゃあ今日の会費を払ってやるから。本当?教える、ここだけの話だよ、わかってるわよ、実はセシウムと言うスパイスが入ってる、え~~~っそれって大丈夫なの?わからないわ、でもそれを入れると美味しくなるんだよ。わかったありがとう、絶対ないしょにする。1分後にトメちゃんは通称放送局と呼ばれてるお菊ちゃんに話してしまった、運悪くそのお菊ちゃんはスピーカーと呼ばれてるお富ちゃんに話してしまった、1時間後にはこの会場から半径20キロ以内の人に伝わってしまった。最悪の事態になった。それからわずか3日で北は北極から南は南極まで情報がかけめぐった。さらにそれから1ヶ月後、居酒屋経済産業省もインペイを売り出した、居酒屋厚生省もインペイを売り出した、居酒屋日本政府もインペイを売り出した、スーパーでもコンビにでも肉屋さんまでインペイを売り出した、こうして日本人の主食は米からインペイに変わってしまった。